本稿では、質問力の基本的な高め方について説明します。
本記事で学ぶこと
・質問力について理解する。
・営業においてキーとなる情報とは何なのか理解する。
・情報の引き出し方の方法論について理解する。
質問力に関しては、巷にたくさんの書籍が出ていますが、ここでは、「営業」という特定の領域で望む成果をあげるために必要な質問力の養成講座という立ち位置で話を進めたいと思います。
1.質問力とは何なのか?
まずは、質問力とは何なのか?という部分についてですが、質問力と言うと、相手の本音を引き出すことが重要だ、と良く耳にします。しかしながら、営業時には、相手の本音を引き出すという表現は若干違いまして、相手が自分を信用して、常に本音で意見を言う状態で商談を進めていく、という感じです。逆に商談をそういう状態で進められない場合は、いわゆる相手に商談認識が無く、最終的に期限の定めのない検討で終わってしまうことがほとんどです。
さて、それでは質問力とは、何なのか?に戻りますが、要は、
・相手からキーとなる情報を引き出す
・YESを取る(コミットメントを得る)
為に必要なテクニックです。
質問力の高い人は、良く使われる表現で言えば、「聞き方が上手い」ので、相手はついつい聞かれたことに答えてしまったり、話し手の要求を断れなくなってしまったりします。
逆に質問力の低い人は、「聞き方が下手」なので、質問を受けた相手が不快な気持ちになったり、そもそも答えてくれなかったりします。
営業初心者が仕事で躓くのも、こういう初歩的なコミュニケーションの技術が身に付いていないことが理由であるパターンがほとんどですが、学校では教えてくれないのでしょうがないですね。
2.キーとなる情報とは?
さて、キーとなる情報とは?ということですが、結論から言いますと、それは「契約に直接的につながる具体的な情報」の事です。分かりやすく言うなら、
何がどうなれば契約するのか?
ということを知りたいんですね。
まず、決裁者が誰で、どのようなプロセスを経て、どのような基準で意思決定を行うかの詳細について、これらは重要な情報です。しかしながら、営業しに行くならそれは知ってて当たり前の情報でもあります。つまり、それを知っているから契約に直接的につながるか?と言われれば答えはNOです。もっと言えば、土台に立っただけなので、商談の成功確率の議論にはなりません。
それでは、いわゆるニーズ・不満系の情報、これらは物によっては直接契約につながる情報なんですが、取得が難しいです。
そもそも、不満は何ですか?ニーズは何ですか?と聞かれても普通は答えないし、なんて答えたら良いか分からない、というパターンがほとんどです。ついでに言えば、ニーズや不満はそれだけでは意味が無く、そこに重要度・緊急度のようなマグニチュードを測れる情報とセットでなければいけません。
それでは、過去の類似商品を購入・契約した時の動機やストーリーはどうでしょうか?
これは、意外と簡単に取得できる割に、効果が非常に高い情報です。つまり、あなたが何を売ってても良いんですが、以前似たようなサービスを契約した時は何でやったんですか?って話です。これは、契約した本人であれば大体覚えてますので、現状の不満は何ですか?と聞かれるよりもハードルが下がります。後はそれを掘り下げていけば良いんです。つまり、以前こういう理由で契約したなら、今回は、より良い条件のこういう契約内容ならどうよ?というわけです。
さて、それではキーとなる情報とは何なのかがご理解いただけたかと思いますので、続いて具体的にどのような聞き方でそういった情報を取得していきましょうか、という部分について話を進めていきたいと思います。
3.質問の種類
①オープン型
オープン型の質問とは、いわゆる5W2Hのように、
なんでですか?
どうしてですか?
いつですか?
といった、自由に回答できるような質問の形式を言います。話を掘り下げたり、広げたりする際に使います。
②クローズド型
クローズド型はオープン型の逆で、YES/NO形式や、マルチプルチョイス形式、つまり、
明日の夕方は予定が入っていますか?
AとBならどちらの方がお好みですか?
などのような、回答者の答え方が限定されるような質問形式になります。
一昔前の心理学の本などを読むと、良くこの質問があたかも魔法の質問のように取り上げられて、5000円ですがどうですか?と聞くよりも、3000円、5000円、10000円と3つ価格を用意すると、やるかやらないかではなくなるから、断られる確率が低くなる、といったトピックスを見ました。が、それもだいぶ使い古されてしまった為、乱用すると、意図がバレるのであまりいい気分がしなかったりします。ちなみに私は、実際の商談で、価格は一つしかないのに、それでは月額39800円と、39801円と39802円のどれも機能が一緒なんですが、どれがいいですか?と聞いて契約をいただいたことはあります。
③選択誘導型
これは、クローズド型の質問で、どの選択肢を選んでも正解!となるような読んで字のごとく選択して誘導する質問の事です。心理学的な言い方をすれば、人は自分が選んだものについては相手に誘導されていると感じない、ことを逆手に取った手法です。
例えば、集客とコンバージョンとリピート率ってどれが一番重要だと思いますかー?、のような質問をして、
いやー、リピートかなー、、、
正解!
でもやっぱり、集客かなー、
正解!
いや、やっぱりコンバージョンでしょ!
正解!
のように、どれを選ばれても正解と言います。もちろん、正解と言った後で、それなりの理由を添えます。相手は自分の意見を受け入れてもらえたというプラスの気持ちで会話を続けることが出来ます。それ以外にも、うまく決まると様々なプラス効果があります。
4.質問の重さと軽さ
精神的な重さ軽さのことです。
相手が初見の際には、質問を選んでしまいますよね?ここではウェブ制作の営業という設定で、例を挙げて説明します。
以下は重い質問です。
・ご反響はいかがですか?
・どこの会社に依頼してHPを作ってもらったんですか?
・アクセスログ見せてもらっていいですか?
・どんな不満がありますか?
・内容を気に入ってもらえたら契約してくれますか?
逆に軽い質問例は、
・このサイトはいつごろ作ったんですか?
・商品数はどれくらいですか?
・お客さんは若者がメインですか?
・更新はどなたがされてるんですか?
・ご友人の方でネットで上手くいっている方はいらっしゃいますか?
という感じで、比較的情報を開示してもリスクの少なそうなモノ・コトです。
質問の重さ、軽さは、それ自体が良いとか悪いとかというわけではありません。重い質問に本音で回答してもらえれば、それだけ受注率は上がります。しかしながら、重い質問は質問のタイミングや仕方を間違えると、そこで相手の気分を害して会話が終了する危険性があります。まずは軽い質問から入り、多少の信頼関係を作ってから重めの質問に自然な流れで入っていけると良いですね。
5.質問がポジティブ、ネガティブ
要は質問文(特に語尾)が肯定系か、否定形かということです。
ポジティブ質問の例は、
・明日の16時からお時間ありますか?
ネガティブ質問の例は、
・では今回はちょっと厳しいですかね?
特に最後の質問ですが、普通はどちらの方が時間取れそうですか?とか、お手隙になりそうですか?とポジティブに聞きますよね?しかしながら、相手が月末とかで忙しい、もしくは暇でも忙しぶらなきゃいけない、事が想像される場合、こう聞くと自動的に、忙しいから月が明けたらにして、と返ってきてしまいそうです。営業マンは月末にどうしても会わなきゃいけない、と言ったことも多いと思うので、それでは困るわけです。その為、あえてどっちがより忙しいのか?と尋ね、では比較的忙しくない方に行きますね!!と言う話にしてしまうわけです。これは相手にこちらの都合をねじ込みたい時に非常に効果があります。
それ以外でも、聞き方をポジティブにするか、ネガティブにするかだけで、相手の反応が変わるものは多々あります。これらが使い分けられるようになったり、自分の部下の悪い部分をこういった視点から修正してあげられるようになれば質問力もグッと上がってきます。
6.回答形式指定型、半強制型、勝手に創造型
これらは、営業の中堅クラス以上の人であれば無意識で使っているのではないかというものに、ただ名前を付けただけです。
①回答形式指定型
「回答形式指定型」とは、読んで字の如く、答えの形式を指定する質問です。自分が知らない分野の情報を得る時や、より分かりやすく説明してもらいたい時に有効です。
例えば、
・さっきの説明は一言で言うとなんですか?
のように、回答の形式を指定する感じです。動物に例えるとなんだ?とか、野球選手で言えば誰だ?みたいなものも同類項です。
②半強制型
「半強制型」は~ですよね?とか、~じゃないですか?のように当然ですよね?のような聞き方の質問形式です。人によっては、元々こういう話し方の人もいるんじゃないでしょうか?(プライベートでそういうやつ、うざいですよね笑)
これは、言う事の内容によっては駆け引きで上に立つことが出来ますし、こちらの思うように会話をコントロールしやすくなります。業界トーク的な物や、著名な知り合いの話を引き合いに出すときなどが典型例ですので、是非相手を見て使えるようにしておきましょう。
また、蛇足ですが、地域によっては方言でこういう表現を多用するところもあります。地域性のある言語の知識は、営業の分野では雑学を超えて、強力な武器になりえるので、なるべく全国の人とお友達になっておきましょう。
③勝手に想像型
「勝手に創造型は」質問から?マークをとって、相手に投げる形の間接的な質問で、特に聞きにくい事を聞き出す時に有効です。
例えば、
どれくらいこのサイトはアクセスがあるんですか?
と聞いても、何となしに正確な情報が返ってこなさそうな時に、
きっと毎日1万PVくらいありそうですね?!
のように想像で大げさに物を言って、相手からその情報を訂正する事を求めるといった形です。心理学的に言って、人は「誤解を解きたい」というマイナスを±0に戻したい心理があります。
しかしながらこの類の質問も、1度の会話の中で多用されると、非常にうざいので人格を疑われる危険があります。多用は避けて、あくまで自然にキーポイントで使えるように訓練しましょう。
7.技術を駆使しても一向に質問力が上がらない、そもそも技術を覚えない、使わない部下をお持ちのあなたへ
ここまで、質問力について基礎となるような技術を紹介していきましたが、我々もたくさんの営業社員を指導育成していく中で気付いていることがあります。それは、どんなに技術を磨かせても、「相手に興味を持たないやつ」は、一生、質問力というか、そもそも会話を盛り上げることなど出来ない、ということです。
なので、もしその部分が解決出来なくて困っているようであれば、別の類の啓発が必要です。このケースに該当する部下を抱えて困っている方は、迷わず画面右上の「お問い合わせ」から、直接当社にご質問をください。弊社コンサルタントが直接お答えいたします。
WRITER
Takeo Aakashi
明石 健夫
メジャーアップデート により2015年バージョンが登場し、ますますPhotoshop CCで使える機能が増えています。より多彩な機能を備えたPhotoshopを使えば、あらゆる表現が可能です。
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